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米国食品医薬品局(FDA)は2026年6月30日、米Orca Bio社の細胞治療製品「Tregzi(トレグジ)」を承認しました。急性白血病や骨髄異形成症候群などの血液がんの大人の患者さんが、HLAの型が合うドナーから強い前処置を伴う造血幹細胞移植を受ける際に用いるもので、免疫の立て直しを助け、慢性GVHD(移植片対宿主病)のない状態で過ごせる期間を延ばすことを目的としています。

ドナーの細胞を「選び分けて」届ける

造血幹細胞移植は白血病を治すための大切な治療ですが、ドナーの免疫細胞が患者さんの体を攻撃してしまうGVHDが大きな課題です。特に慢性GVHDは皮膚や目、口、肺などに長く症状が残ることがあり、生活の質に影響します。Tregziは、ドナーから採った細胞のなかから、造血幹細胞、免疫の暴走を抑える「制御性T細胞」、そして通常のT細胞を選び分けて投与する製品です。187人が参加した無作為化比較試験(Precision-T試験)では、慢性GVHDなく生存できた期間の中央値が、従来の移植群の7.3か月に対し、Tregzi群ではまだ推定できないほど長く、リスクは大きく下がりました(ハザード比0.26)。移植後12か月時点で中等症以上の慢性GVHDが起きた割合は、Tregzi群12.6%、対照群44.0%でした。また、Tregziを受けた88人全員で、28日以内に好中球(白血球の一種)の回復がみられました。

「移植後の暮らし」を見据えた進歩

移植を受けた患者さんやご家族にとって、退院後も続くGVHDの心配は大きなものです。病気を治すだけでなく、その後の生活の質を守ることを目指す治療が承認されたことは、移植医療の新しい流れといえます。一方で、生着不全や感染症、GVHDなどへの注意は引き続き必要とされています。日本で使えるようになるかどうかは、今後の動向を見守る必要があります。

出典:米国FDA「FDA approves allogeneic regulatory T cell-based immunotherapy with HSPC and T cells-vldq for use in matched donor hematopoietic stem cell transplantation for adults with hematologic malignancies」


移植を終えたあとも、GVHDとつきあいながら毎日を過ごしている方はたくさんいらっしゃいます。「治ったその先」の暮らしを大切にする研究が実を結んだことを、心から嬉しく思います。移植や治療については、主治医や移植チームの先生とご相談ください。

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