米国のフィラデルフィア小児病院(CHOP)とセント・ジュード小児研究病院、小児がん研究グループCOGの研究チームは2024年8月14日、T細胞性急性リンパ性白血病(T-ALL)の遺伝子を大規模に解析した成果を、科学誌Natureに発表しました。
1300人超の解析で15の遺伝子サブタイプを特定
T-ALLは、免疫を担うT細胞のもとになる細胞ががん化する白血病で、急性リンパ性白血病の一部を占め、小児から若年成人にみられます。研究チームは、COGのAALL0434臨床試験に参加した1300人を超える小児・AYA世代の患者さんのデータを解析し、遺伝子の働き方や原因となる遺伝子変化の違いから、T-ALLを15のサブタイプに分類しました。その中には、これまで知られていなかったタイプも含まれています。
さらに、T-ALLを引き起こす遺伝子変化の約60%が、かつては「働きのない部分」と考えられていた、タンパク質の設計図ではない領域(非コード領域)で起きていることもわかりました。遺伝子のスイッチの役割を持つ部分が乱されることで、がんにつながる遺伝子が過剰に働いてしまうのです。また、どの遺伝子が変化したかだけでなく、どのように変化したかによって治療成績が異なることも示されました。
患者さん・ご家族にとっての意味
研究チームは、この成果によって再発リスクの高い患者さんを見分け、新しい薬や別の治療を検討できるようになると述べています。逆にリスクの低い患者さんでは、必要以上に強い治療を避けられる可能性もあります。
今回の分類がすぐに日本の診療で使われるわけではありませんが、病気をより細かく理解することは、一人ひとりに合った治療(個別化医療)への大切な一歩です。
たくさんの患者さんとご家族が臨床試験に協力してくださったからこそ生まれた成果だと思います。その思いが、次の世代の子どもたちのより良い治療につながっていくことを心から願っています。