「先生に『寛解です』と言われた瞬間、涙が止まらなかった」——白血病を経験した多くの方が、こう語ります。しかしその後に待っているのは、「完全な終わり」ではなく、「新しい段階の始まり」です。寛解後の生活をどう送るか、何に気をつけるか——これは、回復した方とそのご家族にとって、とても大切なテーマです。

寛解後も定期検査が続く理由

AML(急性骨髄性白血病)やALL(急性リンパ性白血病)では、寛解後も再発のリスクがあります。そのため退院後も定期的に通院し、血液検査・骨髄検査・MRD(微小残存病変)検査などでモニタリングを続けます。これは「心配だから」ではなく、「もし再発しても早期に発見して対処できるようにするため」です。

特に治療後の最初の1〜2年は再発リスクが高く、この期間のフォローアップが最も重要とされています。5年間再発がなければ、多くのケースで「長期寛解」として日常生活にほぼ制限がなくなります。

注意すべき再発のサイン

退院後の日常生活で気をつけるべき再発のサインには以下のようなものがあります。

  • 長引く疲労感・倦怠感
  • 原因不明の発熱
  • あざができやすい、出血が止まりにくい
  • 骨や関節の痛み
  • リンパ節の腫れ(首・脇の下・鼠径部)

これらが現れた場合は、「次の定期検査まで待つ」のではなく、担当医に早めに連絡することが大切です。

骨髄移植後の特別な注意点

移植を受けた方は、しばらくの間、免疫機能が完全には回復していません。感染症への注意が特に必要で、人混みを避ける、手洗いを徹底する、生もの(刺身・なまの野菜等)に気をつけるなど、主治医の指導に従った生活が求められます。また、GVHD(移植片対宿主病)の症状(皮膚の変化、消化器症状、ドライアイなど)が出ることもあり、定期的な受診で対処します。

「再発しないために何かできることは?」

残念ながら、「これをすれば必ず再発を防げる」という方法は現時点では存在しません。しかし、規則正しい生活、十分な睡眠、適度な運動、ストレスを抱え込みすぎないことが、免疫機能の維持に貢献すると考えられています。定期的な通院とモニタリングを継続することが、今できる最善策です。

Harry からひとこと

妻が退院してから、私たちは少しの体調変化にも敏感になりました。「また始まるんじゃないか」という恐怖は、しばらくは消えませんでした。でも、定期検査に行くたびに「問題ない」という言葉をもらい、少しずつ安心できる日が増えていきました。今、闘病を終えたばかりの方には伝えたいのです——「寛解はゴールではなく、スタートラインだ」と。そのスタートラインに立てたこと自体が、奇跡の第一歩です。


参考:国立がん研究センター「急性骨髄性白血病の治療」/日本造血・免疫細胞療法学会ガイドライン(2024年版)

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