「子どもに伝えるべきか?」── 多くの親が迷う問い
白血病と診断された親御さんの多くが「子どもにどう伝えるか」で悩まれます。「心配させたくない」「学校や生活に影響を与えたくない」「正直に話したら泣いてしまうのでは」……そんな思いから告知を迷う気持ちはとても自然です。しかし、子どもは親が思っている以上に敏感で、親の様子の変化をすでに感じ取っていることが多いものです。
「3つのC」── MDアンダーソンがんセンターが提唱する告知の原則
アメリカのMDアンダーソンがんセンターが提唱する「3つのC」は、子どもへの告知で特に重要なポイントを示しています。
- Cancer(がんであること):「がんという病気」であることを隠さず、正直に伝える。あいまいな説明は子どもの想像力をかえって悪い方向へ働かせることがある
- Catchy(うつらない):「がんはうつる病気ではない」と明確に伝える。子どもは病気を伝染するものと連想しやすい
- Caused(あなたのせいではない):「親の病気はあなたのせいではない」とはっきり伝える。子どもは無意識に自分を責めることがある
年齢別の伝え方ガイド
| 年齢 | 理解の特徴 | 伝え方のポイント |
|---|---|---|
| 未就学児(〜6歳) | 病気の概念が未発達。「なぜ?」より「今どうなるの?」に関心 | 「お母さんは病院で治療している」など今の状況を短く具体的に。「治ろうとしている」「あなたが大好き」を繰り返す |
| 小学生(7〜12歳) | 死を理解し始める。論理的な思考が育ち「なぜ?」を問う | 「白血病というがんの一種」と病名を伝えてよい。治療の仕組みをわかりやすく説明。「あなたのせいではない」を強調 |
| 中高生(13歳〜) | 大人に近い理解。強い感情反応(否定・怒り・悲しみ)を示すことも | ある程度詳しく伝えられる。「一緒に考えたい」という姿勢で。「力を貸してほしい場面がある」と具体的に伝えると安心感につながる |
伝えるタイミングと場所
- タイミング:「急いで全部を話す」必要はない。「少しずつ」が基本。まず入院・通院の理由を伝え、質問が出たら答える形でもよい
- 場所:子どもが安心できる自宅の落ち着いた空間で。時間的な余裕があるときを選ぶ
- 一人ではなく一緒に:配偶者やパートナーと一緒に伝えることで「家族で支え合う」メッセージになる
「伝えない」という選択もある
国立がん研究センターのガイダンスでは、「無理に伝える必要はない」とも述べています。子どもの年齢・性格・家族の状況によっては、すぐに告知しないという選択もあり得ます。ただし子どもから「なぜ体調が悪そうなの?」「なぜ入院してるの?」と聞かれたときは、できる範囲で正直に答えることが大切です。
専門家に相談する
子どもへの告知で悩んだら、病院のがん相談支援センター(全国のがん拠点病院に設置)や臨床心理士・公認心理師に相談することができます。子どもの心理や告知のアドバイスを専門家から得られます。
出典・参考情報
- 国立がん研究センター「病気について子どもに伝える」:ganjoho.jp
- ファイザー「がんを学ぶ:子どもにはどう伝える?」:ganclass.jp
Harryからひとこと
妻が白血病と診断されたとき、私たちには双子の子どもがいました。まだ幼かった子どもたちに「お母さんは病気だ」とどう伝えるべきか、本当に悩みました。「わからなくていい」と思う一方、何かを感じ取っている子どもの目が切なくて……。今振り返ると、「病気だけど治ろうとしている」「あなたのことが大好き」という言葉を繰り返し伝えたことが、子どもにとっても私自身にとっても、大切な時間だったと感じています。告知は完璧にできなくていい。でも、伝えようとすること自体が愛情です。
