白血病治療が心に与える影響
白血病の診断を受けた瞬間から、患者と家族は計り知れない精神的衝撃を受けます。「なぜ自分が?」「治るのだろうか?」「仕事はどうなる?」「家族に迷惑をかける……」。こうした不安・悲しみ・怒りは、誰にとっても自然な反応です。しかし、それが長引くとうつ病や不安障害に発展する可能性があります。
データで見る「がん患者のうつ」の実態
愛知県医師会雑誌(2022年)に掲載された明智龍男教授(名古屋市立大学)の報告によると:
- がん患者のうつ病有病率:3〜10%
- うつ病+適応障害を合わせた「うつ状態」の有病率:15〜40%
- がんの種類・病期を問わず高い水準で見られる
白血病では特に、長期入院・骨髄移植・感染リスクによる行動制限・孤立感などが重なり、精神的苦痛が大きくなりやすいとされています。
こんなサインに気をつけて
以下のような状態が2週間以上続く場合は、専門家への相談を検討してください。
- ほぼ毎日、気分が落ち込み・憂うつな状態が続く
- 何もやる気が起きない、楽しみを感じられない
- 眠れない、または寝すぎる
- 食欲がまったくない、または食べすぎる
- 「消えてしまいたい」という気持ちが繰り返し浮かぶ
- 過度な不安・心配が頭から離れない
メンタルヘルスへの対処法
| アプローチ | 内容 |
|---|---|
| 精神腫瘍科・心療内科への相談 | がん専門の精神科医による診断・薬物療法(SSRI・SNRIなど) |
| 認知行動療法(CBT) | 「最悪の事態ばかり考えてしまう」思考パターンを整理する心理療法 |
| 支持的精神療法 | 傾聴・共感・支持を中心としたカウンセリング |
| 患者会・ピアサポート | 同じ経験を持つ仲間との対話による安心感・孤立感の解消 |
| リラクゼーション法 | 腹式呼吸、マインドフルネス瞑想、漸進的筋弛緩法など |
| 家族への教育・支援 | 家族が「正しく心配し、正しくそばにいる」ための情報提供 |
家族もケアが必要
白血病の患者を支える家族もまた、同様の精神的ストレスを抱えます。「介護疲れ」「自分のことを後回しにしてしまう」「もし患者が亡くなったら……」という予期悲嘆も珍しくありません。患者と家族が共に支援を受けることが、より良い治療環境につながります。多くの病院では「家族相談室」やソーシャルワーカーによる相談窓口が設けられています。
頼れる相談先
- がん相談支援センター:全国のがん診療連携拠点病院に設置。無料で相談できる(要予約)
- よりそいホットライン(0120-279-338):24時間対応の無料相談窓口
- がん患者会・支援団体:白血病・血液がん専門の患者会(NPO法人などが全国に複数)
- 臨床心理士・公認心理師:病院内の心理士による個別カウンセリング
出典・参考情報
- 明智龍男「がん患者のうつ病・うつ状態」愛知県医師会雑誌 第69巻2号(2022年12月):aichi.med.or.jp
- 明智龍男先生「がん患者の精神的ケア」日本精神神経学会:jspn.or.jp
- 国立がん研究センター「がん情報サービス」こころのケア:ganjoho.jp
Harryからひとこと
妻が白血病と診断されたとき、私も正直、毎晩眠れない日が続きました。「自分だけが弱いのかな」と感じてしまうこともありましたが、それは決して弱さではありません。双子の子どもたちを抱えながら必死に走っていた当時の私に、「誰かに話を聞いてもらっていいんだよ」と言ってあげたい。メンタルのケアは後回しにしていいものではない──それがこの記事を書いた理由です。もし今、辛さを感じている患者さんや家族がいたら、ひとりで抱え込まないでください。
