「退院できたとして、その後どうやって生きていけばいいのだろう」——白血病の治療中、そんな不安が頭をよぎる方は少なくないと思います。仕事、家族、体力、免疫、先のことがわからない。しかし実際に白血病を経験して社会に戻ってきた人たちの声は、そうした不安に対して、静かに答えてくれています。
「人生2周目」という感覚
NTTグループで働く白血病サバイバーへのインタビュー(2023年)では、3人の復職者が体験を語っています。
移植を経験した平野さんは、「人生は思い通りにならない」という気づきを得て、今は「人生2周目」として他者支援を軸に働いています。柿崎さんは、「仕事が精神衛生の救いになった」と話し、仕事を再開できること自体が回復の証だったと振り返ります。村﨑さんは、「限られた時間内でやり切る姿勢に変わった」と語り、治療前とは異なる充実した働き方を見つけました。
職場や周囲の支えが大きかった
体験者の多くが共通して語るのが、職場の理解と支援の大切さです。入院中に同僚が応援メッセージを届けてくれた、上司が家まで荷物を届けてくれた、3年の休職を認めてもらえた——そうした具体的な支えが、治療中の支えになり、復帰後の動機にもなっています。
がん治療と仕事の両立は、「勇気の問題」ではなく「制度と環境の問題」でもあります。日本では近年、がん患者の就労支援に関する制度が整備されつつあり、企業側の意識も徐々に変わってきています。
高額療養費制度と経済的不安
白血病治療にかかる医療費は、化学療法・移植・入院費などを合わせると数百万〜1,000万円を超えることもあります。しかし日本の高額療養費制度により、自己負担には月ごとに上限があります(所得によって異なるが、一般的な月収の方で8〜10万円程度)。体験者のひとりは「保険組合の手厚い還付制度のおかげで経済的な不安が軽くなった」と語っています。
Harry からひとこと
妻の闘病中、「治った後にどうなるのか」という不安は、ある意味で病気そのものへの恐怖と同じくらい大きかったと思います。しかし実際には、退院した人たちがしっかりと社会に戻り、仕事をして、家族と生活しています。それは「治る」という希望と同じくらい、大切なことを教えてくれます——「その後の人生も、ちゃんと続いていく」ということを。治療中の方に、この記事が届いてほしいです。
参考:NTT Shines「たくさんのサポートに感謝して、助け合いの心をつないでいく ~白血病サバイバーの3人が今、伝えたいこと~」(2023年10月)
