骨髄異形成症候群(MDS)とは ── 白血病の「前段階」にもなりうる血液疾患

「骨髄異形成症候群(MDS: Myelodysplastic Syndromes)」は、白血病の仲間とも言える血液疾患です。骨髄の造血幹細胞に異常が生じ、正常な血液細胞を作れなくなります。白血病のように急激ではなく、ゆっくりと進行するのが特徴ですが、一部の患者さんでは急性骨髄性白血病(AML)へ移行することがあります。

MDSの主な症状

  • 貧血症状:倦怠感・息切れ・動悸(赤血球が正常に作られない)
  • 感染症にかかりやすくなる(正常な白血球が減少)
  • 出血しやすくなる(血小板の減少、機能低下)

高齢者(60歳以上)に多く、定期健診の血液検査で「血球が少ない」と指摘されて発見されるケースも多いです。

MDSのリスク分類(IPSS-R)

MDSの治療方針は IPSS-R(改訂国際予後スコアリングシステム) というリスク分類に基づいて決まります。染色体異常・骨髄中の芽球(未熟細胞)の割合・血球数値などを点数化し、低リスク〜超高リスクに分類します。

  • 低リスク群:輸血・G-CSFなどで症状を管理しながら経過観察
  • 中間リスク群:状態に応じて化学療法か支持療法を選択
  • 高リスク群・超高リスク群:化学療法(アザシチジン等)や造血幹細胞移植を検討

主な治療法

①造血幹細胞移植(唯一の根治治療)

MDSを根治できる唯一の方法ですが、強い前処置と移植関連の合併症リスクがあるため、主に若年者(目安:55歳以下)・高リスク群に適用されます。高齢者が多い疾患という特性上、移植を行えない患者さんも多いのが現実です。

②アザシチジン(ビダーザ®)── 高リスク群の標準化学療法

アザシチジン(商品名:ビダーザ®)は、がん細胞のDNAメチル化を阻害する「低メチル化薬」で、高リスクMDSの標準化学療法として広く使用されています。注射薬で、通常7日間の投与を28日周期で繰り返します。移植が難しい高齢者においても延命・QOL改善効果が報告されています。

③支持療法(輸血・造血因子)

低リスク群や治療強度を抑えたい患者さんには、定期的な赤血球・血小板輸血、エリスロポエチン(造血ホルモン)投与などで症状を管理します。根治はできませんが、生活の質を保つ上で重要な選択肢です。

AMLへの移行に注意

MDSの高リスク群では、一部の患者さんで骨髄中の芽球が増加し、AML(急性骨髄性白血病)に移行することがあります。これを 「二次性AML」 と呼び、原発性AMLより治療抵抗性が高い傾向があります。定期的な骨髄検査でモニタリングすることが重要です。

出展:長寿科学振興財団「MDS(骨髄異形成症候群)と白血病の治療」(https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/ketsueki-shikkan/mds-chiryo.html)


Harryからひとこと:
「MDS」という言葉、ご両親やご高齢の家族が検査で指摘されて初めて知ったという方も多いと思います。白血病ほど知名度はありませんが、患者数は多い疾患です。「様子を見ましょう」と言われて不安なまま過ごすのではなく、IPSS-Rのリスク分類が何段階かを主治医に確認し、治療方針の根拠を理解しておくことをお勧めします。疾患を「知ること」が、不安を少し和らげる一歩になります。

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