「登録したのは、なんとなくでした」——骨髄バンクのユースアンバサダーとして活動する松本さん(仮名)は、こう語り始めます。献血センターで声をかけられ、友人も登録していたからという軽い気持ちで骨髄バンクに登録したのが、数年後に誰かの命をつなぐことになるとは、その時は思っていませんでした。

「詐欺だと思った」適合通知

大学院1年生の6月、突然ショートメッセージで「適合しました」という通知が届きました。「最初は詐欺だと疑った」というのが正直なところだったそうです。しかし日本骨髄バンクに確認し、本当に自分の骨髄が患者さんと適合したことを知ります。

提供するかどうか、悩みました。しかし「自分が登録した意味は何だったのか」と考えたとき、答えは出ました。

手術と回復

骨髄採取は全身麻酔で行われ、3泊4日の入院でした。術後4時間で病室内を歩けるようになり、1週間後には走れるほど回復したといいます。入院中は会社説明会にオンラインで参加したり、映画を観たりして過ごしました。「思ったよりずっと普通に生活できた」と話します。

患者さんからの手紙

提供後、患者さんから手紙が届きました。内容は詳しく語れませんが、松本さんは「心の底から提供してよかったと感じた」と言います。提供した骨髄が誰かの体に生着し、新しい血液をつくり始めている——その事実が、何よりもリアルに「命をつないだ」ことを実感させてくれた瞬間でした。

骨髄バンクの現状

日本骨髄バンクには現在、約55万人のドナー登録者がいます(2024年時点)。一方で、白血病などの血液疾患でドナーを探している患者さんは年間数千人にのぼります。HLA型が適合する確率は数百〜数万分の一で、適合しても実際に提供できるのはそのごく一部です。登録者が増えるほど、患者さんの選択肢が広がります。

Harry からひとこと

私は骨髄バンクのドナー登録をしています。かつて適合通知が来たとき、腰の手術の後遺症で提供できず、今でもその悔しさが残っています。だからこそ、松本さんのように「なんとなく登録して、実際に提供できた」という話を聞くと、胸に刺さるものがあります。登録は献血センターや骨髄バンクの登録会で簡単にできます。20〜54歳が対象です。もし登録を迷っている方がいれば、ぜひ前向きに考えていただけるといいなと思います。


参考:骨髄バンクユースアンバサダー note「骨髄提供をしたよ!」(2022年)/公益財団法人日本骨髄バンク

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