臨床試験(治験)とは? ── 明日の標準治療を作る挑戦
「新しい薬を試す実験台になるのでは?」という不安から、臨床試験への参加を躊躇する方もいます。しかし臨床試験は、現在の標準治療を超える可能性のある最新の治療法を、患者さんが最も早く受けられる機会でもあります。ベネトクラクス、ギルテリチニブ、CAR-T細胞療法──今では標準治療となっている多くの薬は、かつて臨床試験の参加者たちの勇気によって生み出されました。
臨床試験の3つのフェーズ
| フェーズ | 目的 | 参加者数 |
|---|---|---|
| 第I相(フェーズ1) | 安全性の確認・適切な投与量の探索 | 数十人 |
| 第II相(フェーズ2) | 有効性の確認・副作用の詳細評価 | 数十〜数百人 |
| 第III相(フェーズ3) | 標準治療との比較(ランダム化比較試験) | 数百〜数千人 |
フェーズが進むほど安全性が確認され、患者数も増えます。白血病患者が参加しやすいのは主に第II相・第III相です。
日本の臨床試験データベース:jRCTの使い方
厚生労働省が管理するjRCT(臨床研究等提出・公開システム)では、日本国内で実施中の臨床試験を誰でも無料で検索できます。
- URL:https://jrct.mhlw.go.jp/
- 「白血病」「AML」「骨髄移植」などのキーワードで検索
- 地域・病院名でも絞り込み可能
- 各試験の適格基準(参加できる条件)や連絡先も記載
また、国立がん研究センターのがん情報サービス(ganjoho.jp)でも臨床試験の検索機能を提供しており、より患者向けのわかりやすい説明が添えられています。
参加の流れ
- ①情報収集:jRCT・がん情報サービスで試験を探す
- ②主治医への相談:「この試験に興味があるが適応するか」を確認
- ③試験実施施設への問い合わせ:試験担当医・コーディネーターへ連絡
- ④スクリーニング検査:適格基準を満たすか確認する検査
- ⑤インフォームド・コンセント(説明と同意):十分な説明を受けた上で同意書に署名
- ⑥試験参加・定期観察:治療開始、定期的な経過観察
参加にかかる費用は?
試験薬(治験薬)の費用は製薬会社が負担するため、患者の負担はゼロか非常に小さいことが多いです。ただし通院交通費・日常的な検査費用は保険適用の範囲内で自己負担となります。医師主導試験(大学や病院が主体となる試験)では費用負担の形が異なる場合もあるので、参加前に確認してください。
参加を拒否しても治療は変わらない
臨床試験への参加は完全に任意です。参加しなくても標準治療は受けられますし、参加した後でもいつでも辞退できます(辞退したことで治療が不利になることはありません)。「参加しないと主治医に悪いかな」という遠慮は不要です。
出典・参考情報
- 厚生労働省 jRCT(臨床研究等提出・公開システム):jrct.mhlw.go.jp
- 国立がん研究センター「がん情報サービス」臨床試験情報:ganjoho.jp
- 日本製薬工業協会「治験の探し方 〜jRCTのみかた〜 第3版(2025年4月)」:jpma.or.jp
Harryからひとこと
妻の治療中、臨床試験という選択肢があることを知りませんでした。もし当時もっと情報があれば──そう思うことがあります。今の医学の進歩は、過去の患者さんたちが試験に参加してくれたおかげです。自分が「医学の歴史の一部になる」という誇りを持って参加される方もいます。怖さと希望が混在する選択かもしれませんが、選択肢のひとつとして知っておくことはとても大切です。
