「白血病になったら、もとの生活には戻れないのだろうか」——闘病中のご本人や、ご家族がそう不安に思うのは自然なことです。しかし2025年、学術誌『Nature』に掲載された大規模な研究が、希望に満ちた答えを示しました。

診断から平均11年後の427人を調査

ドイツの研究チームは、AML(急性骨髄性白血病)の長期生存者427人を対象に、診断から平均11.3年後の生活の質と人生満足度を調査しました(Nature, 2025)。

その結果、AML生存者全体の生活の質スコアは、同じ年齢・性別の一般人と同等か、やや上回る水準にあることが明らかになりました。

約7割が一般の人と変わらない生活の質

詳しく見ると、生活の質に何らかの支障があると評価された人は全体の27%にとどまりました。つまり約73%の長期生存者は、一般の方と比べて生活の質に大きな差がない状態で暮らしているということです。

また、「骨髄移植(造血幹細胞移植)を受けたかどうか」は、長期的な生活の質に影響しないこともわかりました。移植を経験した方も、していない方も、長期的な生活の質に差はなかったのです。

支えになるのは「社会的なつながり」

一方で、生活の質が低下しやすいリスク因子として挙げられたのは、「AMLにより仕事の状況が変わった」こと(リスクが2.7倍)、疲労感、不安感などでした。

逆に、生活の質を守る要因として明確に示されたのが「社会的なサポート」の充実——家族や身近な人の存在でした。大人数の家族と暮らしている方ほど、良好な生活の質を保つ傾向があったといいます。

あきらめないでほしい

この研究は、AMLという厳しい病気を乗り越えた方たちが、10年以上経ったあとも豊かな生活を送っている現実を、データとして示しています。

闘病中は、先が見えず絶望的になることもあると思います。それでも、この数字が「その先にある生活」の可能性を語りかけています。治療の先には、普通の日常がある——このサイトの管理人として、そしてかつて家族の闘病を支えた一人として、そのことを強く伝えたいと思います。

参考:Quality of life and life satisfaction in long-term survivors of acute myeloid leukemia. Nature (2025)

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