治療を終えた子どもたちの「その後」

小児白血病の治療成績は飛躍的に向上し、5年生存率は90%を超える時代になりました。しかし、「治った」後にも続く課題があります。それが 晩期合併症(晩期障害) と呼ばれる、治療の影響が年月を経て現れる後遺症です。

「治ったのになぜ通院が続くの?」と思う方もいるかもしれません。晩期合併症の多くは治療終了後 数年〜十数年後 に発症することがあるため、長期的なフォローアップが欠かせないのです。

主な晩期合併症の種類

晩期合併症は、受けた治療の種類・量・治療時の年齢によって異なります。

合併症の種類主な原因具体的な内容
成長障害放射線療法(頭部照射)、ステロイド低身長、成長ホルモン分泌不全
内分泌障害放射線、化学療法甲状腺機能低下、不妊・性腺機能低下
神経認知障害頭部放射線、一部の抗がん剤記憶力・集中力の低下、学習困難
心機能障害アントラサイクリン系抗がん剤(ドキソルビシンなど)心筋症、不整脈、心不全リスク上昇
骨密度低下ステロイド療法骨粗鬆症、骨折リスク
二次がん放射線・化学療法による遺伝子損傷二次性白血病・固形がん(発症まで10年以上かかることも)
歯の発育障害放射線療法、化学療法歯の欠損、萌出遅延

出展:国立がん研究センター がん情報サービス「白血病〈小児〉療養・フォローアップ」(https://ganjoho.jp/public/cancer/leukemia/follow_up.html)

フォローアップのスケジュール

通院頻度の目安:

  • 治療終了後1〜2年:月1〜3回程度(再発リスクが高い時期)
  • 3〜5年:2〜4か月に1回程度
  • 5年以降:年1回程度(ただし晩期合併症の経過観察は継続)

小児がんの経験者が成人になってからも専門的にフォローする「長期フォローアップ外来(LTFU外来)」を設ける施設が増えており、小児科から内科への移行をサポートする取り組みも進んでいます。

晩期合併症への対策

  • 心臓:アントラサイクリン系薬の累積投与量を管理、定期心エコー検査
  • 成長・内分泌:小児内分泌専門医での定期チェック、成長ホルモン補充療法の検討
  • 妊孕性:治療前から妊孕性温存を検討(卵子・精子凍結)
  • 神経認知:必要に応じて学習支援・神経心理士によるサポート
  • 骨密度:カルシウム・ビタミンD摂取、定期骨密度検査

Harryからひとこと:
白血病で一番つらいのは治療中ではなく、治療後の「また元気に生きていけるだろうか」という不安かもしれません。妻が寛解してからも長い間、「再発したらどうしよう」という気持ちが消えませんでした。子どもたちが小児白血病に罹患したご家族にとっては、子どもの将来への不安が加わり、さらに複雑なものがあると思います。でも長期フォローアップは「問題を探す検査」ではなく、「元気に生きていくための定期点検」です。主治医チームと長い付き合いを続けてほしいと思います。

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